身体の不自由な方々の描いた絵画

口、足を使って描いた絵画の展示会が隣町で開催されている情報を得て、仲良しのSさんを誘って出かけてきました。すでに亡くなられている方の作品も含めて、沢山の絵画と口で書いている方の実演があり、観賞しながらふと思ったのは子供たちの姿のないことの不思議でした。その施設は「未来と子供のための福祉施設」という事で昨年建設されたばかりなのです。さくら達は勿論、来場者のほとんどは高齢者です、主催者の意図したことは何だったのか、この施設で開催した意図はと考えた時に、来場に際して子や孫ととは思わなかったのでしょうか。

展示された絵画を観ながらふと思い出したのは星野富弘さんです。子供たちが通っていた幼稚園の何回目かの創立記念に、当地のデパートの展示会場を使っての「星野富弘詩画展」を開催しました。氏は体育教師になったその年、模範演技中に頭から落下して四肢の自由を失いました。紆余曲折を経てサインペンから始めた絵と文字は、年を経て味わい深いそれになって、観る者に懐かしさと安らぎを与えてくれます。詩画展の為の作品をお借りするために、山深いご自宅までお伺いした時のことを時々思い出すのです。献身的な奥様の介護と、持って生まれた氏の聡明さと明るさに溢れた御自宅での数時間の心地よさは忘れがたい時間でした。展示されている作者の方々の日々が平穏で明るいものであることを願わずにいられませんでした。