キビソ(生皮苧)糸で

キビソ糸、緒糸(ちょし)とも言う糸は、蚕が繭を作るときに最初に吐き出す糸で、繭の上層部で生糸にならない部分を取り除いて集めて糸にしたものです。セリシンというたんぱく質で固められている繭の最初に吐き出されて作られた部分は、セリシンがたっぷり含まれていて、ガサガサとして麻を思わせる無骨な糸です。セリシンが取り除かれたキビソ糸は軟らかで衣類などにも使えるのですが、その武骨な風合いもなかなか味わい深いものがあります。

 

ガサガサのままのキビソ糸を織って浴用タオルを織ってみました。お湯につけて石鹸をつけて洗ってみると柔らかな肌触りで、洗った後の肌はすべすべして気持ちよく、サクラ染めをした糸で何枚か分を織ることにしました。独特の風合いのまま敷物にも面白いものになりそうで、暫くはキビソ糸と遊ぶことになりそうです。