温かさに誘われて

昨日に続いて今日も3月頃の気温にと言う情報につられて、出かける娘と一緒に家を後にしました。途中で別れてから駅前の団地の中を通り抜けることにしました。この街に越して来た最初に住んだ家までの駅からの帰りに通り抜けた団地で、団地の中の小さい公園の端にカワズザクラの若木が植えられていましたが、それから15年以上たってずいぶん大きく育っています。「カワズザクラは咲いたかな」とふと気になって団地の中央に廻ってみました。南側の枝先に何輪かの花が咲いていて、うすい紅色はカワズザクラらしからぬ楚々とした雰囲気で優しさを漂わせています。カワズザクラのぼってりとした赤味の濃い花はさくらの好みではないので、陽の光の弱いこの時期に優し気に咲き始めた花にしばらく足を止めて安らぎを貰いました。

 

その先は市役所の敷地にあるお茶畑です。いつもよく手入れされていて、この時期はすっかり刈り込まれて整然とした濃緑の畝が気持ちを和ませてくれます。植え込みと茶畑の間の通路を通り抜けるのがいつものコースで、通路側のお茶の木はきっちり刈り込まれていて灰色の木肌が寒そうです。刈り込まれた枝の中のところどころに白玉のようなまあるい蕾が見え隠れしていて、さくらはそれを見つけるのが楽しみで、今日もいくつかの蕾を見つけてそっと手折って持ち帰りました。刈り込まれた枝は皆短かいので丈の短い黒いガラスの花生けにいつものように活け、何時ものように流しの出窓に置いて楽しみます。昨日まで出窓で目を楽しませてくれた深い赤色のバラは玄関の丸テーブルに引っ越してウサギの置物と同居です。