使えない古布

先日洗濯機で洗った古布のうちの1枚のこと。裂き糸を作るために手に入れた古着は、解いてから洗濯機で洗うのですが、中には洗いに堪えられないものがあります。先日久しぶりにそのような布に出会いました。洗濯機が止まって布を引き上げてみると、布の一部がレースのようになっています。よく見ると経糸の一部が粉のようになって溶けてしまい、緯糸が残ってレース状になってしまったのです。黒と黄色の経糸の黒の部分だけがなくなってしまった結果です。緯糸に使ってある黒い糸は残っているのに、なぜ経糸だけが溶けてしまったのか理由は分かりません。

 

今日は朝からよく晴れて気温も高く、コートも手放して川沿いの道を遠回りして買い物に出かけました。先日から通るたびに膨らんだサクラの蕾を眺めては草木染を思い、今ならいい色がでるのにと眺めていたのです。思いがけずその枝を掃っている職人さんが一休みしていました。枝を眺めつつ頼んでみようかと迷いながら声をかけてみました。「この下枝は切るのですか」「いやこれは切らない。欲しいの?」「咲く前の枝が欲しいのですが」「これならいいよ」とまだ若い、蕾のついた枝を手渡してくれました。「いらないのはここに放り投げておいてくれればいいから」といってくれた一枝を少しだけガラスビンにさして、今は切り分けた枝を煮出して染料を作っています。久しぶりの桜染めに少し心が弾んでいます。