朝日歌壇から

1時間程の朝のひと時は、新聞に目を通す時間と決めている大事な時間です。新聞によって捉え方もいろいろですが、1紙のみの購読のさくらは心して読もうと思いつつ、もう40年程同じ新聞を購読しています。心待ちにしているのは、月曜日の短歌欄で、何人かの投稿者に注目して、真っ先にその人たちの名前を捜し、次にゆっくりと全体を読む事にしています。その中の一人にアメリカから投稿する囚人がいます。今週は偶然でしょうか、何気なく読んでいるともう一人、日本からの囚人の歌が投稿されていて、4人の選者がそれぞれに二人の歌を選んでいたのです。

灼熱の午後の獄庭(ヤード)の上空を旋回(パトロール)せしは
禿鷹三羽

法螺を吹く囚徒が一人おりまして変化乏しき中で人気あり

アメリカ) 郷 隼人

職員の目を盗んでは場馴れせぬ我に手を貸す若き囚人

口角をあげて鏡の我を見る笑い少なき独居房にて

ひたちなか市) 十亀 弘史


母親と高校生、中学生姉妹の投稿歌にはいつの間にか、その成長を見守っているような気持で読んでいる自分に気づき、心和む思いになります。若くしなやかな感性に感動を覚え、その感性を見守り育てた母親を思う時、暖かなものが心に満ちてくるのです。