秋に

朝の風に、日差しに、高い空に秋を感じるようになりました。猫ヒタの手入れもかなわぬまま、秋の訪れを感じ始めても日中の日盛りにはさすがにめげて、涼しいリビングでの手仕事に時間を費やしています。依頼されている縫物に手を付けるにはまだ気持ちが動かないので、気分転換を言い訳に機仕事に気を紛らせています。何年か前のアートフェスの折に頼まれていた、絹のモール糸の小さめのマフラー。次の年からアートフェスがなくなってしまったのでそのままになっていました。昨年の暮れにお目にかかったその方に「頼んでいたの覚えていらっしゃる?」と言われて「ええ」と答えて以来気になっていました。サイズもはっきり聞いていなかったので、サイズ違いを2枚織って遅くなったお詫びに差し上げるつもりで、2枚目の糸をかけています。

 

もう一枚予定している裂き織りのマフラーは、紅絹の裂き織りマフラーです。兄の古い友人のМさんが久しぶりに我が家に来た時、着物地を使った衣類を縫っている彼女から、解いた紅絹がたくさん届き、以前二人で「二人展」を開催した時に、紅絹の裂き織りマフラーを展示しました。彼女の友人が真っ先に手にして買い求めてくれて、その場で皆に「いいでしょ、いいでしょ」と見せて回っていたのです。Мさんもそれが欲しかったらしく「あれが欲しかったのよね」と言って紅絹を手渡されたのです「わかった」と何の思いもせずに答えたので、午前中の2時間ほどは洗ってアイロンをかけた紅絹を裂き糸作りに費やしました。織るまではまだまだですが、少しずつ増やしていくつもりです。